FC2ブログ移転のお知らせ

21話 – オラフ王の焚刑祭(1)

  • 2016.01.16
  • 更新日:2018.10.08
  • RP日記

 

ホワイトランでルーシスと別れ、ロードと二人馬車でソリチュードへ出発。
途中馬を休ませながら進み、ソリチュードに到着したのは夜も遅い時間だった。
そのまま宿屋ウィンキング・スキーヴァーに泊まり、朝まで眠った。

「おはよう。よく眠れたか?」
「おはようございます。ええ、もうぐっすりと」
ロードと朝食をとりながら、晩餐会までの間どうするか予定を立てる。


「ずっと休みなく移動したり戦ってきたりだろ? 晩餐会はまだ先だし、折角だから一日くらいはゆっくり休んだらどうかな。宿屋にいるのが退屈なら街を見て回ってもさ。良かったら俺が案内するよ」
「確かに、一日のんびりと過ごすこともしばらくありませんでしたね。では、お言葉に甘えて」
少し考え、ふと思い出した。


「今日から薪木の月…。そろそろ焚刑祭が行われますね」
「…焚刑祭はエリシフ首長によって禁止されたよ。今年は…いや、来年以降も開催されるか分からない」
「そうなのですか。何故?」
「上級王トリグが殺害されたことは知っているか? エリシフ首長は、王の彫像を火あぶりにする焚刑祭に不快感をあらわし、祭を禁止されたそうだ」
「伝統的な祭が首長の一存で失われてしまうのは考え物ですね」
「そうだな。でも仕方がないさ」
「…大学で詳しい事情を聞けませんか? 祭が禁止されて大学も困惑していることでしょうし、何か問題を解決する方法があれば…」
「え? …君がそこまで祭に執着することはないんじゃないか?」
「いいえ。私も祭を楽しみにしていた一人です。私のほかにもそんな人がいるはずです」
「…分かった。大学へ行こう」


大学へ入ると、ロードはハイエルフの男性に声を掛けた。
「ヴィアルモ校長、お久しぶりです」
「おお、ロードライトか。珍しいな、お前が大学に顔を出すとは。戻ってくる気になってくれたか?」
「いえ、そのような気持ちには…私はもう帝国軍の人間ですから。今日は別の用件で参りました。オラフ王の焚刑祭が禁止されたそうですね」
「そうなのだ。祭をエリシフは禁じた。エリシフは殺された夫トリグの死を深く嘆き、王の彫像を火あぶりにする祭を…不快に思っているのだ。何世紀も続く、ソリチュードを称える祭だと説得しようとしたが…。彼女の考えを変えさせねばならない。…おお! お前ならばちょうどよい。頼まれてくれないか」
「…はい?」
「彼女を説得するためにオラフ王の詩歌を読みたいのだ。スカイリムの生きた歴史である、エッダ詩歌集の一部だ。残念ながら、長らく行方が分からない。だが大学の歴史学者ジラウドによると、オラフ王に関するエッダの一部が、今も”死者の安息所”に残されている可能性がある。それを取り戻してほしいのだ。宜しく頼む」
「…分かりました。詩歌集を探せばいいのですね」
「そうだ。見つかるよう幸運を祈るよ」
ロードは校長と話し終わると、申し訳なさそうにこちらを見た。
「メルヴィナ、すまない。ソリチュード案内が出来なくなった」
「いえ、構いませんよ。私もお供します、早速出発しましょう」


「ロード。先ほど、ロードライトと呼ばれていましたね」
「ああ、校長はそう呼んだっけな。ロードライトが正式な名前だけど、ちょっと長いだろ? ロードと略して呼ばれるうちに、こっちのほうがしっくり来るようになっちゃってさ。そう呼ばれだしたのは帝国軍に入ってからで、最初に呼び出したのはハドバルなんだけど」
「そうなのですか。ところで…やはり大学へは行っていなかったのですね」
「…ああ。帝国兵に助けられたあの日から、そのまま帝国軍に志願したからな。校長や大学の人と顔を合わせることはあったけど、大学内に入ったのは数年ぶりだ」
「校長はあなたに大学へ戻ってきてほしそうな様子でした」
「内戦が始まり吟遊詩人大学の入学希望者が少なくなったんで、人が欲しいんだろ。在籍者が少ないと人気のない大学と思われるから」
「…そういう感じには見られませんでしたが。あなたの才能を買っていたのでは?」
「昔の話だ。もう数年間楽器には触れていないんだ、腕も落ちているさ」
「そうですか…残念です」

「死者の安息所は、この丘を登っていった先にあるそうだ。…ん? あれは」
遠くからドラゴンが声を上げて飛来してくる。


上空から氷のブレスを吐きながら飛び回る。
「クソッ! 下りてこい、ドラゴン!」
ドラゴンはロードに狙いを定め、着地するとブレスを吐いた。


「ロード! 気をつけてっ」
ドラゴンに青い炎の魔法をぶつけながら、回復魔法をかける。
「このくらい大丈夫さ、ノルドの冷気耐性甘く見るなよ!」
ロードはそう言いながら両手剣を振るう。弱ってきたところで喉元に剣を突き立てた。
幸いにも小ぶりで弱いドラゴンだったため、二人でも倒すことが出来た。

ドラゴンを倒し、その魂を吸収する。前よりも胸の痛みは感じなかった。やはり、慣れなのだろうか。


「メルヴィナ。大丈夫か?」
「ええ。これで三度目…。慣れてきたのか痛みもほとんど感じなくなってきました」
「そうか、それならいいけど…」


死者の安息所にたどり着いた。


入ってすぐの部屋に何かがいる。
「あれは…幽霊でしょうか。…リュートを抱えてる? 吟遊詩人の幽霊のようですね…」
「…どこだ? 俺には見えない。けど吟遊詩人の幽霊か…これは詩歌集も期待できそうだな」


少し近づくと幽霊は消えた。テーブルの上にはルビーが使われた爪がある。
「それ、古代ノルドの遺跡には結構あるみたいだな」
「そのようですね。これは持って行きましょう」
爪を取ると、奥の鉄格子が開いた。


幽霊は、まるで私達を導くように現れては消えていく。その姿を追って奥へと進んだ。


「行き止まりですね。…ここの落とし戸、どう思いますか」
「どこかに通じていそうだが、ここからじゃ確認できないな…」
「私が飛び込んでみましょうか」
「いや、危険だ。それなら俺が…。あっ、ちょっと待ってくれ。こうしよう」
ロードはそこらに落ちていたリネンラップを集め、固く結んでロープを作った。
「意外と丈夫な布があって助かったよ。これで先に下りて確認するから、合図をしたら下りてきてくれ」
「ありがとうございます、お願いしますね。気をつけて」
彼はロープを柱にくくりつけ、慎重に下りていった。
「メルヴィナ! こっちに道がある。大丈夫そうだから来てくれ」
「分かりました」

先を進むと、罠のかかった扉がある。


「いかにも、ですね…」
あたりを注意深く見ると、何枚もの刃が今にも動き出しそうな位置で止まっていた。
「ここのワイヤーを外してから扉を開けましょう」
ロックピックで扉に設置された罠を解除すると、ロードが感嘆の声をあげた。
「見落としそうな部分によく気付いたな。多分俺なら気にもせずに扉を開けただろう。それにしても器用なんだな」
「ルーシスに教えてもらいました。解錠しやすいコツがあるのです」
「へ、へえ…。あの人は色々できるんだな…」

奥へ進むとドラウグルの数も増えてきた。
その度にロードは前に出て、私へ攻撃が及ばないように防いでくれていた。
後方から魔法で支援するまでもなく、一人でほとんどを片付けてしまった。


「ふう、少し数が多くなってきたな…。メルヴィナ、怪我は?」
「いいえ、あなたのおかげで無傷です。ありがとうございます。…あの、血が」
ロードの首元に血が付いている。
「ん? ああ、これは返り血」
「嘘をつかないで、ドラウグルがそんな赤い血を流しますか。見せてください」
「参ったな。ちょっと引っ掻かれただけなんだ、本当に」
「毒があったらどうするのですか。回復魔法と…念のため、消毒薬を塗っておきます」

血をふき取り、回復魔法で傷を塞ぎつつ薬を擦り込む。
「たかがかすり傷と油断しないでくださいね。ここから病気になることもあるのですから」
「…ありがとう。なんだか、前にも似たようなことがあったな」
「ブリーク・フォール墓地でしょう? 覚えていますよ。どうしていつも無理をして強がるのですか」
「どうしてだろうな。このくらい大したことないんだと…見栄を張りたいのかもしれない」
「そういうものなのですか? よく分かりませんが…。これからは見栄を張らずに言ってください。少しでもあなたの役に立ちたいのです、こういうときくらいは私にも仕事をさせてください」
「わかった、今後は気をつけるよ」

しばらく先を進み、奥の部屋へ入るとそこには吟遊詩人の霊がいた。


ミイラ化した遺体の傍らに本がある。ロードが本を手に取ると幽霊は姿を消した。
「…エッダ詩歌集だ。もしかしたら君の見た吟遊詩人の幽霊はこの本の著者だったのかもな」
「なにか心残りがあったのでしょうか。ともあれ、見つかってよかったですね」
「そうだな、戻ろう」

帰り道を進むと、またあの霊が立っている。


彼は、ついて来いと言わんばかりに、魔法で封印された扉を開けると中へ飛び込んでいった。
「まだなにかあるようですね、行ってみましょう」


「ああ、やはり。入り口に爪がありましたからね…」
扉を開き、中へ入る。


大勢のドラウグルが椅子に座り、今にも動き出しそうだ。
広間の中央に、霊が立っている。
「あ…あの中央にいる幽霊がそうか? 俺にもやっと見えた」
霊は祭壇に向かって叫んだ。
「オラフ! 時が来たぞ!」
その声に反応したのか、数体のドラウグルがゆっくりと動き出した。
「始まったな! メルヴィナ、援護を頼む!」
そう言うとロードは両手剣を構えて前に飛び出した。


倒しても次から次へとドラウグルが動き出す。
ロードと幽霊が片っ端からドラウグルを切り倒していく。その後方から破壊魔法で援護した。

何体か倒したあと、動きが止まった。
「よみがえれ、オラフ! 我が復讐の時だ!」
幽霊が叫ぶと、更に何体かのドラウグルが動き出した。
「キリがないな。ここにいるドラウグル全て片付けないと駄目なのか!?」
さすがのロードにも顔に疲れの色が見える。


「くそっ、これで最後かっ?」
最後の一体を切り伏せた。

「ロード。残念ながらまだ…」
一番奥の石棺からゆっくりと姿を現す。オラフだ。


「無礼な吟遊詩人め。死ね!」

シャウトを使ってきたが、こちらも負けじと揺るぎ無き力のシャウトで応戦した。
オラフがよろめき、大きく隙が出来たところでロードが斬りかかる。
これはいい連携かもしれないと気付いた。こういったシャウトの使い方が正しいのかは分からないが…。

オラフを倒すと、吟遊詩人は望みが果たされ満足したのか、リュートを奏でながら消えていった。
「今度こそ、本当に消えましたね…」
「そうだな。…それにしても、これだけ大勢のドラウグルを相手にしたのは初めてで、流石にきつかったよ」
「お疲れ様です。回復魔法は必要ですか?」
「いや、大丈夫だ。戦いの最中、ずっと治癒の魔法をかけていてくれただろう? 助かった」


すぐ側には言葉の壁があり、そこで旋風の疾走の二つ目の言葉を覚えた。
「もう声の出し方は分かったのか?」
「ええ、”声”に出すには、ドラゴンの魂が必要みたいです。たくさんのシャウトを修得するには、それだけ多くのドラゴンを殺していかなければなりませんが…」
「そうなのか、大変だな…」
「これが私に与えられた役目ですから。勿論、私一人で成せる事ではありません。あなたやルーシス、リディアがドラゴン退治に協力してくれるからこそ、私は力を得られるのです。一人では不可能です、貧弱なので…」
「まあ、確かに…そうだな」
ロードは苦笑した。

墓所の外へ出るともう夜になっていた。おまけに雨が降っている。
「仕方ない、朝になって雨がやむまでここで休もう」
中へ戻ってすぐの場所にある長椅子に腰掛けた。


持参した食料と水を二人で分ける。
「食べたら少し休んでおきなよ」
「大丈夫です、眠くありませんから。ロードこそ、戦って疲れたでしょう?」
「いや、俺は…。このやりとり、前にもあったな」
「…ブリーク・フォール墓地ですよね。さっきもそう」
彼はクスリと笑った。
「あれから何日経つだろう。これほど君と一緒にいるとは思ってもみなかったよ。最初のリバーウッドから、ホワイトランへ君を送り届けてそこで別れるつもりだったから」
「そうですね。あなたにはこれまで随分と助けてもらっています。なにか、お返しできればいいのですが…」
「構わない。思う存分戦えるんだ。正直、帝国軍にいるよりやりがいを感じるよ。なんてな」
「まあ」

「あの、ロード…」
「ん?」
「本当に、もう楽器には触れないつもりなのですか」
「…どうして?」
「私の心残りの一つですから。数年前から…」
「…言っただろう。もう随分と触ってないんだ。リュートが聴きたければ、大学に行けば他に奏者がいるだろう?」
「駄目なのです、あなたじゃなければ。何度か、他の人のリュート演奏を聴いたこともあります。どの人も良い演奏でした。ですが、あなたのリュートの音色は他の誰よりもずっと…心を動かされました」
「…そう言われても無理だ。仮に再びリュートを演奏したとして…今更あの頃と同じようにはいかないよ。すまないが…」
「そう…ですか」

長い沈黙の後、ロードは少し休むと言って目を閉じた。私も、じっと座っていたら瞼が重くなり、いつの間にか眠ってしまっていた。


 

6
TOPへ