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11話 – 声の道(5)番外

  • 2015.11.08
  • 更新日:2018.10.08
  • RP日記

 


「ロード、ここにいたか」
「ルーシスか、どうした。彼女は?」
「疲れて眠ったよ。ちょっと話せるか?」
「ああ、構わない」

「なんだ、こんなところまで連れてきて」
「いやな、ここが暖かくて好きなんだ。何より明るいし、お互いの顔をしっかり見て話したいだろ?」
「ふうん…。それで、話って?」
「突然だけど、お前は彼女のことどう思ってるんだ?」
「どうって」
「好きなのかってこと。いわゆる恋愛感情だな」
「…彼女と出会ってまだ数日しか経ってない。そんな感情持てるか」
「嘘だな。好きだろ、お前が自覚していないだけで」


「……」
「そんな怖い顔するな。すまんな、人の気持ちを揺さぶりたくなる悪い癖なんだ」
「何か理由があって聞いているんだろうな」
「勿論。メルはな、人というものをまともに知らぬまま育ってしまったのだ。ご覧の通りグレイビアードは無口な年寄りばかりで、人とのコミュニケーションも私かアーンゲールとしか取れなかった。ほとんど私が育てたにしては純真でいい子に育ったがな。ハハハ」
「それは感じていた。きっと育った環境が特殊なんだろうと。あまりにも素直だからな…」
「だろう? それゆえに心配なのだ、悪い虫がつかないかと…。いいか、ここからは真剣に話す」


「お前、彼女を傷つけたら…殺すぞ」
「……」
「と、言うのは冗談だ。驚いた?」
「…何だよ。それが話したかったことか?」
「すまんすまん。ここからが本心だ。私は…彼女を愛している。故に、彼女には早く記憶を取り戻して欲しい」
「恋人だったのか?」
「ああ、違う。そういう類の愛情ではない。家族愛というべきか…。あの子が小さな頃から育ててきた、私にとっては家族同然のかけがえのない存在なんだ」
「そうか…。しかし、男の危険さは教えたほうが良かったんじゃないか? あのまま一人で野に放ったら間違いなく問題だぞ。男の前で、平気で服を脱いで着替えをしかねない」
「うん? 何かあったのか?」
「いや。あった、というわけではないが」
「そうだな…そのあたりのことは、彼女が成長してからしまったなと気付いたよ。ある程度のことは教えたつもりだが、あの子も私のことを異性と認識していなかったしな…。そこで元の質問に戻る。お前、彼女のこと好きなんだろう?」
「…好意は持っているが、それは恋愛感情ではない、と言えばいいか?」
「まあいいだろう。ならば私とお前は良き仲間だな。ともに彼女を守ろう」
「はあ? どういう思考でそうなる」
「身命を賭して人を守ろうとする原動力はなんだ。名誉か、金か? 私は愛情だと思っている」
「成程な…。つまり、俺が彼女のことを好きなほうが都合がいいというわけだ」
「そういう事。というわけで、これからも頼むぞ。ここまで首を突っ込んだんだ、今更別れるなんて言うなよ」
「なんだ…知っていたのか」
「イヴァルステッドでメルと話していただろう。彼女はお前を頼りにしているようだ、腹をくくってくれ」
「……分かったよ。けれど、俺は帝国軍に属している身だ、任務がある場合は一時的に抜けさせてもらうからな」
「構わん。私も別の任務を受けたりするからな。…では、あらためて。ロード、これからよろしく頼む」
「ああ、よろしく」


 

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