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05話 – ブリーク・フォール墓地(2)

  • 2015.09.04
  • 更新日:2018.10.08
  • RP日記

 


吹き抜けを見上げると夜空が見えた。朝方墓地に入り、もう随分探索を続けている。


おそらくここが盗賊が持っていた日記に書かれていた物語の広間だろう。金の爪が扉を開く鍵らしい。
「この三つの絵が描かれた輪を適切に並べて、この金の爪をはめ込むと扉が開く、という仕掛けですね…」
「その絵の正しい順番は分かるか?」
「ええ、休憩中にこの爪を見ていたら、ほら…ここに答えが」
「爪にも三つの絵が描かれているな。いたって簡単な仕掛けにも思えるが…とにかく合わせてみよう」
ロードの言うとおり、扉は簡単に開いた。

扉の奥に進むと祭壇らしきものが見える。ここがファレンガーの言っていた中央の間だろうか。
ロードは棺から出ようとするドラウグルを起き上がる前に難なく倒してしまった。
「これ…棺の中にあるこの石版。ドラゴンストーンじゃないか? …思ったよりあっけなく見つかったな」
ロードが石版を手に取る中、私は奥の壁が気になった。
何かの文字が書かれている壁だったが、その中の一つだけ光を発している文字がある。よく見ようとそれに近づいた。
「メルヴィナ?」


声が聞こえる。分からないが、どこかで聞いたような声。
音の流れが身体に入るような感覚に襲われ、気がつけばロードに支えられていた。

「おいっ、大丈夫か? 一体、何が起こったんだ?」
「あ…私…」


「今、君の身体に何か光のようなものが入っていくのが見えた。なんともないか?」
「わからない…。声が聞こえて…近づいたら、光が身体を流れてきて…、私、どうなってしまったのか…」
「落ち着いて。…身体のほうは大丈夫なんだな?」
「ええ…。なんともないみたいです」
「それなら良かったよ。…君は一体何者なんだ? 記憶を無くしたのはこれと関係があるのか? あれは魔法なのか全く違う何かかそれとも…」
「…ロード。あなたのほうこそ落ち着いてください」
「あ、ああ。すまない。初めて見る光景に興奮してしまった」


「この壁…何なんだろうな。古代ノルドの文字なのだろうか」
「分かりません。これは、ファレンガーさんに報告したほうがいいでしょうね」
「そうだな。とにかく、石版も手に入れたことだし、さっさとここから脱出しよう。歩けるか?」
「ええ、大丈夫です。行きましょう」

来た道をたどり、リバーウッドに戻る。まずはリバーウッド・トレーダーに行って、早くこの爪を渡してあげたかった。
カウンターに金の爪を置くとルーカンは大きな声で笑った。
「見つけたんだな? やはり奴は墓地に行っていたか…。ん? 変だな…思っていたより小さいように見える。気のせいか、ハッハッハ」
「あなた達が無事に帰ってきてくれて本当に良かったわ。それにこの爪も取り戻してくれて…本当にありがとう」
「俺と妹のために凄いことをやってくれたあんた達のことを決して忘れないよ。盗賊を始末してくれてありがとう。これは約束していた金貨だ、受け取ってくれ。またこの町に来たら是非立ち寄ってくれ、カミラと俺が喜んで手伝うよ」

一つ仕事を終えた安心感からか、店を出る頃には疲労と眠気で身体がふらついていた。
「さすがにもう限界だろ。休んでからホワイトランへ行こう」
「いえ…出来るだけ早くこの石版を持って行ったほうがいいと思います。もう少し…頑張りますか、ら…―」
言い終わらないうちに私はその場にへたり込んでしまった。

「――メルヴィナ? 気が付いたか」


うっすらと目を開ける。ロードが私の顔を覗き込んで安堵の表情を浮かべた。
「あ…私、倒れてしまったんですよね…ごめんなさい」
「いや、大丈夫か? 疲れが急に来たんだろうけど、墓地のあの光を受けたせいで今になって倒れたのかと思って心配したよ」
「ごめんなさい、ただの疲れで…本当にごめんなさい。あなたのほうが戦いで疲れてるはずなのに」
「俺は鍛えてるから、一日くらい寝なくても平気さ。君は身体が丈夫じゃないことは分かってるから気にしなくて良いよ。それより、すまない。本当は宿で休ませてあげたかったんだけど、店主が留守らしくてベッドを借りられなくてな。ここのテントを少し貸してもらったんだ」
気を失った私を抱きかかえてあちこち回ってくれたのだろうか…。
「いえ。わざわざありがとうございます」
「それと、お腹も空いてるだろ? これ」
あたたかいスープを手渡された。
「ありがとうございます、いただきます。あの、私、どのくらい気を失っていたのでしょう」
「小一時間程度かな、まだ昼時だよ。そうそう、そこに馬車があるだろう? 食事が終わったら、ホワイトランまで乗せてもらおう。馬車なら寝てる間に目的地に着くからさ」
「確かに…便利ですね。では、そうしましょう」
食事を済ませ、立ち上がろうとするとロードが目の前で手を差し伸べる。


「まだ足がおぼつかないだろ。ほら」
彼は私の手をとり、グイッと引っ張りあげた。初めて触れた彼の手は大きくて力強く、あたたかかった。


 

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